老人介護施設で働く介護職にとって、リハビリの位置づけとはどのようなものだろうか。
もちろん介護士はリハビリの専門家ではないので、その分野の仕事を積極的に任されるというようなことはない。
しかし、利用者と日常的に接する中でリハビリに役立つようなことは結構多いものだ。
それは「生活リハ」と呼ばれるものだ。
理学療法士(PT)や作業療法士(OT)の仕事とは別の立場から高齢者の生活を支える重要な役割といえるだろう。
「高齢者にできることはなるべくしてもらう」それが生活リハの基本的な考え方だ。
できないことだけを介助して、できることは自分でやってもらうことで高齢者の残存能力を維持することができる。
今までできないと思っていたことでも、少しの手助けや環境整備でできるようになるケースも多いものだ。
具体的には車椅子をなるべく使わず歩行器で移動したり、おむつを使用せずにポータブルトイレを利用したりということがあるが、それらは最初から無理をさせずに、目標を低めに設定することが大切である。
高齢者にとって気が向いた時に目的の場所まで歩いたり、自分の行きたい時にトイレに行けるというのは思った以上に重要なことだ。
従って、身近な介護士のサポートで運動機能の低下を防ぎ少しでも生活の質を向上させることができるなら利用者にとっては大きなメリットになるといえるだろう。
また、生活リハによって利用者の生き生きとした生活をサポートできることは、介護する側にとっても大きなやりがいにつながるだろう。
今回は生活リハについて語ったが、リハビリについてより理解を深めたいのなら「QOL向上に欠かせない「リハビリ」とは」を併せて読むとよいだろう。