QOL向上には高齢者への理解が重要

介護で重要とされることのひとつが、QOLの維持・向上である。高齢者は身体機能が落ちるのも早くなり、ともすれば精神的にもやる気が落ちる、意欲がなくなるなど、様々な弊害が表れるようになる。
引きこもりがちになればウツにもなりやすく、意欲が無くなればADLも低下するなどの悪循環となってしまうのである。
人がそれぞれ性格が違うように、QOLへのアプローチの仕方も高齢者によって変わる。
そこで最も必要となるのが、対象の高齢者をきちんと観察することだろう。

その人がどんな生活を送っていて、何に興味を持つのか、どんなことを大切にしているのかを知らないままでは、QOL向上のアプローチはできない。外へ出ることが好きな人もいれば、家の中で作業をすることが好きな人もいる。
たくさんの高齢者を安易にパターン化するのではなく、その人に沿った対処法を考えることが重要となる。
まずは関係性を作り、何でもない会話ができるようになれば、その人のQOL向上にも役立つだろう。
介護はケアだけをすればよいのではなく、高齢者が言外に求めているものを察知することも必要なのである。

体を動かすことも大切ではあるが、嫌がる高齢者を無理やり体操やレクへ引っ張り出すのではなく、多方面からのアプローチを検討する。
例えばゲーム性があれば、高齢者は思っているより白熱し、毎日を楽しむようになることも多い。
ちょっとしたきっかけや変化で体を動かすことができるので、まずはその人の性格を詳しく分析してみるのが、QOL向上の近道なのである。